「築30年以上の家だけど、外壁塗装をしても大丈夫かな…」「古い家特有の注意点ってあるの?」このようなご相談を、私たち加藤建装では多くいただきます。
古い家には独特の風合いや魅力がありますよね。しかし、長年風雨にさらされた外壁は、新築の家とは違った特有の課題を抱えています。単に新しい塗料を塗るだけでは対応できないケースも少なくありません。
一方で、古い家だからこそ、適切な外壁塗装によって新たな命を吹き込み、価値を高められる可能性も秘めています。何十年も家族の歴史を見守ってきた大切な住まいを、これからも長く安心して住み続けられる家にするためには、古い家特有の状態を理解した上での塗装計画が欠かせません。
この記事では、築30年以上の家の外壁塗装をする際の特有の注意点と、家の価値を高めるリフォームのポイントをご紹介します。
古い家の外壁塗装前に必ず確認すべきポイント - 下地処理の重要性
築30年以上の家の外壁塗装を成功させるには、塗装前の準備と確認が特に重要です。新しい家とは違い、長年の劣化や過去のリフォーム履歴によって、さまざまな問題が隠れていることがあります。ここでは、塗装前に必ず確認すべきポイントをご紹介します。
外壁材の種類と状態を確認
まず確認すべきは、外壁の素材です。築30年以上の家では、モルタル、サイディング、木材など様々な外壁材が使われています。素材によって適した塗料や下地処理が異なるため、正確に把握することが大切です。
特にモルタル外壁の家では、クラック(ひび割れ)や浮き、剥がれがないかを入念にチェックする必要があります。小さなひび割れでも、そこから雨水が侵入し、内部の腐食につながる恐れがあるからです。当社では、専用の道具を使って目視だけでは分からない「浮き」も検査しています。
過去の塗装履歴を確認
古い家では、これまでに何度か塗り替えが行われていることが多いです。塗り重ねの回数や使用された塗料の種類によって、新たな塗装の密着性や仕上がりが変わってきます。
例えば、油性塗料の上に水性塗料を塗ると密着不良を起こす可能性があります。また、あまりに塗り重ねが多い場合は、古い塗膜を除去する必要があることも。私たちは専門的な知識と経験で、適切な対処法をご提案します。
下地処理の徹底
古い家の外壁塗装で最も重要なのが、下地処理です。どんなに良い塗料を使っても、下地がしっかりしていなければ、すぐに剥がれたり、新たな問題が発生したりします。
下地処理では、以下のような作業が必要です。
高圧洗浄による汚れやカビの除去
劣化した塗膜のケレン(削り落とし)
ひび割れや欠損部分の補修
シーリングの打ち替え
特に古い家では、見えない部分に腐食や劣化が進行していることも少なくありません。表面上は問題なく見えても、叩くと空洞音がする部分や、触ると柔らかい部分には要注意です。こうした部分は、専門的な補修が必要になります。
築年数別の外壁状態と適した塗料・工法の選び方
古い家といっても、築30年、40年、50年以上では状態も対応方法も異なってきます。ここでは、築年数別の外壁の特徴と、それぞれに適した塗料・工法についてご紹介します。
築30〜35年の家の特徴と対策
この年代の家は、多くが新建材の普及期に建てられており、サイディングやモルタル外壁が一般的です。2回目か3回目の塗り替え時期にあたることが多く、以下のような特徴があります。
過去の塗装の劣化(チョーキング、色あせ)
シーリングの硬化や剥離
小〜中程度のひび割れの発生
この年代の家には、耐久性の高いウレタン系やシリコン系の塗料がおすすめです。特に、塗膜が柔軟性を持ち、小さなひび割れに追従できるタイプの塗料が適しています。また、紫外線による劣化を防ぐ機能を持った塗料も効果的です。
築40〜45年の家の特徴と対策
この年代になると、外壁の老朽化がさらに進み、以下のような問題が見られることが多くなります。
深刻なひび割れや外壁材の浮き
雨漏りの発生や下地の腐食
度重なる塗り重ねによる塗膜の厚さの問題
このような家では、まず既存の塗膜の状態を詳しく調査し、場合によっては塗膜の剥離(全面的または部分的)を検討する必要があります。塗料としては、透湿性(水蒸気を通す性質)のある塗料がおすすめです。内部の湿気を外に逃がし、下地の腐食を防ぐ効果があります。
築50年以上の家の特徴と対策
築50年を超える家では、文化的価値や歴史的な側面も考慮した塗装計画が必要です。特に以下のような特徴があります。
伝統工法による外壁(土壁、漆喰など)
木材の経年変化や腐食
構造的な老朽化の可能性
このような古民家や歴史的建造物には、伝統的な塗料や工法を取り入れることが多いです。例えば、漆喰壁には現代の塗料ではなく、伝統的な漆喰を使うことで、通気性や調湿性を活かした仕上がりになります。
また、近年では伝統工法と現代技術を融合させた塗料も開発されており、見た目は伝統的でありながら、耐久性や施工性を高めたものもあります。当社ではそれぞれの家の特性に合わせて、最適な材料と工法をご提案しています。
いずれの年代においても、塗料選びは「その家の状態」と「お客様の希望」のバランスを考えることが大切です。次のセクションでは、古い家特有の外壁トラブルとその対処法について詳しく見ていきましょう。
古い家に多い外壁トラブルと効果的な対処法
築30年以上の家には、特有の外壁トラブルが見られます。これらを適切に対処することが、塗装の成功と建物の長寿命化につながります。ここでは、よく見られるトラブルとその対処法をご紹介します。
モルタル外壁のひび割れと剥落
古い家のモルタル外壁では、幅広いひび割れや剥がれ(剥落)が発生しやすくなります。このまま放置すると雨水が侵入し、下地の木材を腐らせる原因になります。
対処法としては、ひび割れの幅や深さによって使い分けが必要です。小さなひび割れには弾性フィラーを充填し、大きなひび割れには補強ネットを張り、モルタルで埋め直す工法が効果的です。剥落が著しい場合は、その部分のモルタルを打ち直す必要があります。
当社では、「樹脂モルタル」という特殊なモルタルを使用することで、従来のセメントモルタルより柔軟性が高く、再びひび割れが発生しにくい補修を行っています。
サイディングの反りや目地の劣化
サイディング外壁の家では、板の反りや歪み、目地シーリングの劣化が見られることがあります。特に初期のサイディングは現在のものより耐久性が低く、反りや割れが発生しやすい傾向があります。
反りや割れたサイディングは、新しいものに交換するのがベストですが、費用面で難しい場合は、専用のビスで固定し直し、表面をパテで平滑に補修することもできます。目地のシーリングは、必要に応じて打ち替えを行います。古いシーリングをきれいに除去し、新しいシーリング材で仕上げることで、防水性が回復します。
木部の腐食や虫害
古い家では、軒天や破風板、窓枠などの木部に腐食や虫害が発生していることも少なくありません。これらの木部は外壁塗装と一緒に処理することが多いです。
軽度の腐食なら、腐った部分を取り除き、木材補修用のエポキシパテで成形し直すことが可能です。しかし、腐食が進んでいる場合は、木材自体の交換が必要になります。交換後には防腐・防虫処理を施し、耐久性の高い塗料で塗装することで、再発を防ぎます。
宮城県のような湿度の高い地域では、木部のメンテナンスは特に重要です。当社では外壁だけでなく、軒天や雨樋、木部なども含めた総合的なメンテナンスプランをご提案しています。
古い家の魅力を引き出す外壁塗装のデザイン選び
古い家には新しい家にはない魅力や個性があります。外壁塗装は単なる保護や修繕だけでなく、その魅力を最大限に引き出すチャンスでもあるのです。ここでは、古い家の価値を高める塗装デザインのポイントをご紹介します。
年代や建築様式に合わせた色選び
築30年以上の家は、建てられた時代の建築様式や流行を反映していることが多いです。その時代性を尊重した色選びが、家の個性を引き立てます。
例えば、昭和40年代〜50年代の和風住宅には、落ち着いた土壁調の色合いや温かみのある木目調が映えます。洋風の要素を取り入れた家には、クリーム色やベージュなどの柔らかな色調が調和することが多いです。
当社では、お客様のご要望をお聞きしながら、家の特徴に合った色のサンプルを何種類かご提案し、実際に小さな面積で試し塗りをして確認いただくこともあります。色は実際に塗ってみると印象が変わることも多いので、慎重に選ぶことが大切です。
部分的なアクセントでの魅力アップ
全体を一色で塗るのではなく、一部にアクセントカラーを取り入れることで、古い家に新たな表情を与えることができます。例えば、玄関周りや窓枠、破風板などの装飾部分に差し色を入れると、建物全体の印象が引き締まります。
また、近年人気の「塗り分け」という手法もあります。例えば、1階と2階で異なる色を使ったり、壁面の一部だけ異なる色や質感にしたりする方法です。適切に塗り分けることで、建物のボリューム感が和らぎ、スタイリッシュな印象になります。
質感やテクスチャーの活用
色だけでなく、塗料の質感やテクスチャーも重要なポイントです。古い家の味わいを生かすなら、ツヤの少ない落ち着いた質感の塗料や、わずかな凹凸感を残す塗装方法が適していることが多いです。
例えば、土壁調の質感を出せる塗料や、古材の風合いを表現できる特殊塗料などを使うことで、新築にはない深みのある外観を作り出せます。反対に、現代的なデザインに生まれ変わらせたい場合は、クリアな発色のツヤのある塗料も選択肢になります。
当社では、お客様の家の特徴や好みに合わせて、様々な質感の塗料をご提案しています。「昔ながらの良さを残しつつ、少し現代的に」といった細かなご要望にも対応し、世界に一つだけの外観づくりをお手伝いします。
まとめ:古い家を長持ちさせる外壁塗装の施工業者の選び方とポイント
築30年以上の古い家の外壁塗装は、新築とは違った知識と経験が必要な専門分野です。最後に、長年の経験から得た、信頼できる施工業者の選び方とポイントをお伝えします。
まず、古い家の塗装実績があるかどうかを確認しましょう。ポートフォリオや施工事例を見せてもらい、似たような年代や外壁材の家の塗装経験があるかチェックすることが大切です。
次に、下地処理の方針をしっかり聞くことがポイントです。「とにかく安く」と下地処理をおろそかにする業者は避けるべきです。古い家ほど下地の状態が重要であり、ここにどれだけ時間と手間をかけるかで仕上がりと耐久性が大きく変わります。
また、使用する塗料についても詳しく説明できるかどうかもチェックポイントです。古い家に適した塗料の特性や、なぜそれを勧めるのかを明確に説明できる業者を選びましょう。
当社では、お客様の大切な家を長持ちさせるために、まずは丁寧な現地調査と詳細なお見積りを心がけています。塗装は家を守る重要な投資です。特に古い家では、その家の特性を理解した上での適切な施工が、今後何十年も住み続けられる住まいを実現する鍵となるのです。外壁塗装についてのご質問やご相談は、いつでもお気軽に加藤建装までご連絡ください。