外壁のひび割れ補修、DIYで本当にできる?プロが教える自己判断のポイントと方法

「外壁にひび割れを見つけた…」そんな瞬間、多くの方が不安を感じるものです。「このまま放置して大丈夫なの?」「業者に頼むと高そう…」「自分で直せるかな?」と様々な疑問が浮かぶことでしょう。

私たち加藤建装には、外壁のひび割れについて相談に来られるお客様が数多くいます。中には「小さなひび割れだけど、念のため見てほしい」という方から、「自分で直そうとしたけどうまくいかなかった」という方まで様々です。


実は、外壁のひび割れには自分で対応できるものとプロに任せるべきものがあります。見極めのポイントを知っていれば、無駄な出費を抑えることも、逆に大きなトラブルを未然に防ぐこともできるのです。

この記事では、外壁のひび割れを自分で補修できるかどうかの判断基準や、DIYで補修する際の方法をプロの視点からご紹介します。お家のメンテナンスに役立ててください。


外壁のひび割れの種類と原因 - 自分で対応可能なケースとプロに任せるべきケース

外壁のひび割れは一口に言っても、その種類や原因は様々です。まずは、ひび割れのタイプを理解し、DIYで対応可能かどうかを見極めましょう。



自分で対応できるひび割れの特徴

DIYで補修可能なひび割れには、以下のような特徴があります。


ヘアクラック(毛細ひび割れ)

髪の毛ほどの細さのひび割れで、塗装面だけに生じているものです。主に塗料の乾燥収縮や経年劣化によって発生します。幅が0.3mm以下のものであれば、一般的にDIYでの補修が可能です。


表面的なひび割れ

塗膜や仕上げ材のみに生じているひび割れで、深さが浅いものです。指でこすっても広がらず、水が染み込む様子もない場合は、自己補修の対象となります。


シーリングの劣化

窓周りやサイディングの継ぎ目部分のシーリング(コーキング)が劣化して生じたひび割れも、比較的簡単に自分で補修できます。



プロに任せるべきひび割れの特徴

一方、以下のようなひび割れは構造的な問題が疑われるため、専門家に相談すべきです。


構造クラック

壁の内部まで達しているひび割れで、幅が0.5mm以上あるものや、徐々に広がっているもの。特に斜めや階段状のひび割れは要注意です。


網目状のひび割れ

蜘蛛の巣のように網目状に広がるひび割れは、下地の大きな動きや劣化が原因のことが多く、広範囲の補修が必要です。


湿気を伴うひび割れ

ひび割れ周辺が濡れていたり、カビが発生していたりする場合は、内部に水が浸入している可能性があります。早急にプロの診断が必要です。




ひび割れの主な原因

外壁にひび割れが生じる代表的な原因としては、以下のようなものが挙げられます。


経年劣化

建物は年月を経るにつれて自然に劣化していきます。特に塗膜は紫外線や雨風にさらされ、徐々にその弾力性を失っていきます。



建物の揺れや振動

地震や近隣の工事、交通量の多い道路からの振動などが原因で、外壁にストレスがかかりひび割れが発生することがあります。



温度変化による収縮と膨張

昼夜や季節による温度差で建材が膨張・収縮を繰り返すことで、次第にひび割れが生じます。宮城県のような寒暖差の大きい地域では特に注意が必要です。


次のセクションでは、DIYで補修可能なひび割れに対応するための判断基準と、必要な道具・材料についてご紹介します。




DIYで補修可能なひび割れの判断基準と必要な道具・材料

外壁のひび割れを自分で補修するかどうかを判断するには、いくつかのポイントを確認する必要があります。ここでは、DIY可能かどうかの具体的な判断基準と、補修に必要な道具・材料をご紹介します。



DIY可能かどうかの判断基準

以下のチェックリストを参考に、ひび割れの状態を確認してみましょう。


ひび割れの幅

定規やコインを使って幅を確認します。0.3mm以下(髪の毛程度の細さ)であれば、DIYでの補修が可能です。1円玉の厚さ(1.5mm)より明らかに細いかどうかで判断してもよいでしょう。


ひび割れの深さ

爪や竹串の先でひび割れをそっと触ってみて、浅く引っかからない場合は表面的なひび割れと判断できます。深く入り込む場合は注意が必要です。


ひび割れの動き

時間をおいて同じひび割れを観察し、長さや幅が拡大していないかチェックします。拡大するひび割れはプロに相談しましょう。


ひび割れの位置

窓や出入り口の周辺、建物の角など力のかかりやすい場所にあるひび割れは、構造的な問題の可能性があるので専門家に相談するのが安心です。


水の侵入

雨の後にひび割れが濡れているか、内部に水が浸入した形跡があるかを確認します。水の侵入が疑われる場合はDIY補修は避けましょう。



DIY補修に必要な道具・材料

自分で補修する場合に必要な基本的な道具と材料は以下の通りです。ホームセンターで入手可能です。


道具類:

ワイヤーブラシ(古い塗料や汚れを落とすため)

へら(充填剤を塗るため)

マスキングテープ(周囲を保護するため)

軍手や手袋(手を保護するため)

養生シート(周囲の汚れ防止)

サンドペーパー(表面を平滑にするため)



材料:

外壁用充填剤(アクリル系やウレタン系のもの)

外壁と同じ色の塗料(上塗り用)

プライマー(下地処理用、必要に応じて)

洗浄用の水や中性洗剤




これらを揃えたら、次のセクションでご紹介する手順に従って補修を進めていきましょう。ただし、高所での作業は転落の危険があるため、脚立などの安定した足場が確保できない場合や、二階以上の高さの場合は無理せずプロに依頼することをおすすめします。




初心者でもできる外壁ひび割れの補修手順 - ステップバイステップ解説

DIYで外壁のひび割れを補修する際の手順を、初心者の方でも分かりやすいようにステップバイステップでご紹介します。天気の良い日を選び、十分に時間に余裕を持って作業しましょう。



準備:作業前の確認と段取り

まず、作業を始める前に次の点を確認しましょう。


天気予報をチェックし、2〜3日雨の心配がない日を選ぶ

気温が10℃以上ある日に作業する(寒すぎると材料が固まりにくい)

脚立などの足場が安定しているか確認する

必要な道具・材料がすべて揃っているか確認する


ステップ1:ひび割れ周辺の清掃

最初に、ひび割れとその周辺をしっかり清掃します。


ワイヤーブラシや古い歯ブラシで、ひび割れ内部のホコリや古い塗料を丁寧に取り除きます。

水で薄めた中性洗剤で周辺の汚れを落とし、きれいな水で洗い流します。

完全に乾燥させます(最低でも半日以上)。


この清掃作業は手を抜かないことが大切です。汚れが残っていると充填剤がうまく密着せず、すぐに剥がれてしまう原因になります。



ステップ2:充填剤の準備と施工

いよいよひび割れに充填剤を埋めていきます。


使用する充填剤の説明書をよく読み、必要に応じて練り混ぜます。

マスキングテープをひび割れの両側に貼り、はみ出しを防ぎます。

へらを使い、充填剤をひび割れに押し込むように塗り込みます。

表面が周囲の壁と同じ高さになるようにへらで平らに均します。

充填剤が少し乾いてきたら(指で触れても付かない程度)、マスキングテープをゆっくり剥がします。


充填剤は種類によって乾燥時間が異なりますので、必ず説明書の指示に従ってください。また、深いひび割れの場合は、一度に充填せず、2〜3回に分けて層を作るとより確実です。



ステップ3:仕上げ塗装

充填剤が完全に乾燥したら、仕上げ塗装を行います。


必要に応じて軽くサンドペーパーをかけ、表面を平滑にします。

周囲の壁と同じ色の塗料を使って、修復箇所を塗装します。

塗りムラができないよう、周囲との境目をぼかすように塗ります。


塗装する際は、やや広めの範囲に塗ることで、修復箇所が目立ちにくくなります。また、外壁の色が経年変化している場合は、完全に同じ色を出すのは難しいので、少し明るめの色を選ぶと目立ちにくくなります。

これで基本的な補修作業は完了です。塗料が完全に乾くまで雨に当たらないよう注意しましょう。次のセクションでは、DIY補修の限界と専門業者に依頼すべき状況について説明します。




DIY補修の限界と専門業者に依頼すべき状況

DIYで外壁のひび割れを補修することには、できることとできないことがあります。ここでは、DIY補修の限界と、専門業者に依頼した方が良い状況について説明します。



DIY補修の限界

自分で行う補修には、以下のような限界があることを理解しておきましょう。


技術的な限界

プロが使用する専門的な道具や材料、技術を完全に再現することは難しいです。特に大きなひび割れや複雑な形状の補修は、素人には難しい場合があります。


安全面での限界

高所作業は非常に危険です。2階以上の高さや、安定した足場が確保できない場所での作業は避けるべきです。私たちプロは安全設備と経験を持って作業しています。


診断の限界

外壁のひび割れが示す本当の問題を見極めるには、専門的な知識が必要です。見た目は小さなひび割れでも、建物の構造的な問題を示している場合があります。


耐久性の限界

DIYでの補修は、プロの施工と比べて耐久性が劣ることが多いです。一時的な対処にはなりますが、長期的な解決策にはならないこともあります。



専門業者に依頼すべき状況

以下のような状況では、迷わず専門業者に相談することをおすすめします。


構造的なひび割れが疑われる場合

幅が0.5mm以上ある大きなひび割れや、斜めに走るひび割れ、網目状のひび割れなどは構造的な問題の可能性があります。



同じ場所に繰り返しひび割れが発生する場合

DIYで何度補修しても同じ場所にひび割れが発生する場合は、根本的な原因があるかもしれません。



水の侵入が疑われる場合

内部への水の侵入が疑われるひび割れは、早急に専門家による対処が必要です。放置すると雨漏りや内部腐食の原因になります。



広範囲に及ぶ劣化がある場合

ひび割れが多数あったり、外壁全体が劣化している場合は、部分的な補修ではなく、外壁全体の塗り替えや張り替えを検討すべき時期かもしれません。



建物の築年数が古い場合

築20年以上の建物では、ひび割れは総合的なメンテナンスの一環として捉える必要があります。専門家による建物全体の点検をおすすめします。




まとめ:外壁ひび割れを長期的に防ぐためのメンテナンスのコツ

外壁のひび割れは、早期発見と適切な対応が鍵となります。最後に、ひび割れを未然に防ぎ、お家を長持ちさせるためのメンテナンスのコツをご紹介します。


まず、定期的な点検を習慣にしましょう。季節の変わり目や大きな台風の後など、年に2〜3回は外壁の状態をチェックすることをおすすめします。小さなひび割れを早期に発見できれば、DIYでの簡単な補修で済むことが多いのです。


また、外壁の汚れは定期的に洗浄しましょう。汚れが長期間付着していると、塗膜の劣化を早め、ひび割れの原因になります。ホースで水をかけ、やわらかいブラシでやさしく洗うだけでも効果があります。


そして、外壁塗装は10年前後を目安に定期的に行うことが大切です。塗装は外壁を保護する「お家の傘」のようなもの。この傘が古くなると、雨風から家を守る力が弱まり、ひび割れなどの劣化が進みやすくなります。私たち加藤建装は、お客様の大切なお家を守るお手伝いをしています。DIYでの対応が難しい場合や、専門的なアドバイスが必要な際は、いつでもご相談ください。適切なメンテナンスで、快適で安心な住まいを長く維持しましょう。