「外壁塗装は必要ない」説を徹底検証!やらなかった場合の5年後、10年後のリアルな姿

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「うちの壁、まだ見た目は綺麗だし、本当に塗装なんて必要なんだろうか」

「100万円以上もかけて、やる意味があるのかな」


新築から10年ほど経ち、外壁塗装を考え始める時期になると、多くの方がこのような素朴な疑問を抱きます。決して安くない費用だからこそ、その必要性に確信が持てないまま、話を進めたくないと感じるのはごく自然なことです。


特に最近では、高耐久をうたった外壁材も増えており、「今の家はメンテナンスがいらない」といった話を耳にすることもあるかもしれません。インターネットで検索しても、業者によって意見が異なり、ますます何が本当なのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。


だからこそ、私たちはこの「外壁塗装って、本当に必要なの?」という、お客様の率直な疑問に、真っ正面からお答えしたいと思います。


この記事は、ただ塗装の必要性を一方的に説明するためのものではありません。塗装が「必要ない」ケースと、「絶対に必要」なケースの両方を公平に解説し、あなたがご自身の家の状況に合わせて、心から納得できる答えを見つけるためのお手伝いをします。




ケース別解説!外壁塗装が「原則として必要ない」と言える3つの外壁材

結論からお話しします。「外壁塗装が必要ない家」は、たしかに存在します。それは、外壁の素材そのものが、塗装によって保護する必要がない、非常に高い耐久性を持っている場合です。

具体的には、以下のような外壁材が挙げられます。



ケース1:タイル

タイルは、土や石などを高温で焼き固めて作られた、非常に硬く、水もほとんど吸わない素材です。素材そのものに色がついており、紫外線による色あせもほとんどありません。そのため、タイル自体を保護するための塗装は原則として不要です。高級感があり、初期費用は高めですが、長期的に見ればメンテナンスの手間を大きく減らせるのが特長です。



ケース2:レンガ

レンガもタイルと同様に、粘土などを焼き固めて作られています。独特の風合いがあり、耐久性や耐火性にも優れています。素材自体が持つ色合いは、時間が経つほどに深みを増していくため、塗装によるメンテナンスは必要ありません。



ケース3:樹脂系サイディング

日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、塩化ビニル樹脂を主成分とする外壁材です。素材そのものに顔料が練り込まれているため、表面が劣化しても色が剥げるということがありません。ひび割れにも強く、非常に長持ちするのが特長です。




ただし、「完全なメンテナンスフリー」ではない

ここで一つ、非常に重要な注意点があります。それは、これらの外壁材を使った家でも、「まったくメンテナンスが要らないわけではない」ということです。

例えば、タイルやサイディングのつなぎ目を埋めている「シーリング(コーキング)」は、10年前後で劣化するため、打ち替えが必要です。また、雨樋や軒天(のきてん)、破風板(はふいた)といった「付帯部」と呼ばれる部分は塗装されていることが多く、これらの部分は定期的なメンテナンスが欠かせません。

外壁材そのものは長持ちでも、家の防水性を保つためには、他の部分のチェックが不可欠であることは、ぜひ覚えておいてください。



それでも、ほとんどの家に外壁塗装が必要な「たった一つの重要な理由」

例外的なケースをお話ししましたが、日本の戸建て住宅の多くで採用されている「窯業系(ようぎょうけい)サイディング」や、昔ながらの「モルタル壁」の場合、外壁塗装は「絶対に必要」と言い切れます。


その理由は、たった一つ。

「建物を、水から守るため」です。


外壁塗装の最も重要な役割は、家の見た目を綺麗にすることではありません。塗料で壁の表面に強力な「膜」を作り、雨水が建物内部に浸入するのを防ぐこと。これこそが、外壁塗装の本質です。



塗料は、家が着る「レインコート」

どんなに頑丈な窯業系サイディングやモルタル壁も、素材そのものはセメントなどが主成分であり、水を吸う性質を持っています。新築時には、その表面を塗料の膜がレインコートのように覆うことで、防水性を保っています。

しかし、10年近く経ち、紫外線や風雨にさらされ続けると、このレインコートは少しずつ劣化していきます。防水機能が失われた壁は、降ってきた雨を吸収し、晴れた日に乾く、というサイクルを繰り返すようになります。


壁が水分を含んだり乾燥したりを繰り返すと、素材は伸び縮みし、やがて目に見えないほどの小さなひび割れ(ヘアークラック)が発生します。そして、その小さな隙間からさらに水が浸入し、冬場には内部で凍って内側から壁を破壊する「凍害(とうがい)」を引き起こすこともあります。

そうなると、外壁材の反りや、より大きなひび割れに繋がり、最終的には雨漏りや建物の構造部分の腐食といった、深刻な事態を招きかねません。


外壁塗装とは、古くなったレインコートを、新しい高機能なものに着替えさせてあげるようなもの。家の寿命を守るために欠かせない、非常に重要なメンテナンスなのです。




費用だけじゃない。私たちが外壁塗装に踏み切れない3つの心理的ハードル

建物を水から守るために塗装が重要だということは、頭では理解できても、いざ実行するとなると、なぜか腰が重くなってしまう。そう感じる方は少なくありません。

その背景には、単なる費用の問題だけではない、いくつかの心理的なハードルが存在します。



ハードル1:効果が目に見えにくい「予防」という考え方

外壁塗装は、病気でいうところの「予防医療」によく似ています。今すぐ何かが壊れていて生活に支障が出ているわけではなく、将来起こるかもしれない深刻な事態を「未然に防ぐ」ための投資だからです。

私たちは、すでに壊れてしまったものを修理することにはお金を払いやすい一方で、まだ問題が起きていないものを予防するためには、なかなか決断しにくい傾向があります。外壁塗装の本当の価値は、数年後、数十年後に「雨漏りしなかった」「大規模な修繕が不要だった」という形で現れるため、今すぐその効果を実感しにくいのです。



ハードル2:「100万円以上」という金額の大きさ

やはり、費用の大きさは最も高いハードルの一つです。外壁塗装の費用相場は、一般的な戸建て住宅で100万円を超えることも珍しくありません。車が買えてしまうほどの金額を、今すぐ生活が便利になるわけではないものに投じることへの抵抗感は、当然のことと言えるでしょう。

「もっと他に、お金を使いたいことがあるのに」と考えてしまう気持ちも、決断を先延ばしにする大きな要因となります。



ハードル3:業者選びの難しさと不信感

残念ながら、リフォーム業界には、お客様の不安を煽って高額な契約を結ぼうとする業者がいまだに存在します。そうしたニュースを見聞きするうちに、「うちに来る業者も、信用して大丈夫だろうか」と、業界全体に対して不信感を抱いてしまうのも無理はありません。

数ある業者の中から、本当に信頼できる一社を見つけ出す作業は、非常に手間と時間がかかります。複数の業者とやり取りをし、見積もりを比較検討するプロセスそのものがストレスとなり、「面倒だから、また今度にしよう」と考えてしまうのです。

これらのハードルがあるからこそ、私たちは慎重になり、つい決断を先延ばしにしてしまうのです。




「必要 or 不要?」もう迷わない。自宅の外壁をプロの視点で診断する3ステップ

では、これらのハードルを乗り越え、ご自身の家にとって本当に「必要」なタイミングを判断するためには、どうすれば良いのでしょうか。専門家でなくても実践できる、3つの具体的なステップをご紹介します。



ステップ1:【知る】我が家の外壁材の種類を特定する

まずは、敵を知ることから。あなたの家の外壁が、そもそも塗装が必要な素材なのか、それとも不要な素材なのかを把握することが第一歩です。

最も確実なのは、家を建てた時の「設計図書」や「仕様書」を確認することです。「外壁:窯業系サイディング」「外壁:モルタル左官仕上げ」といった記載が見つかれば、塗装が必要な家ということになります。もし書類が見当たらない場合でも、建築したハウスメーカーや工務店に問い合わせれば教えてくれるはずです。



ステップ2:【見る】劣化のサインをセルフチェックする

外壁材の種類が分かったら、次に実際に壁の状態を見て、触ってみましょう。チェックすべきポイントは、これまでの章でも触れてきた通りです。


チョーキング: 手で触って白い粉が付くか?


ひび割れ: 髪の毛のような細いものか、爪が入るほど太いものか?


シーリング: ひび割れや、壁との隙間はないか?


これらの状態を写真に撮っておくと、後で専門家に見せる際にも役立ちます。このセルフチェックによって、おおよその緊急性を自分自身で感じ取ることができるようになります。



ステップ3:【比べる】複数の専門家に診断を依頼する

セルフチェックで少しでも気になる点があれば、最後の仕上げとして、専門家による診断を依頼しましょう。ここでのポイントは、必ず2〜3社の業者に声をかけ、それぞれの診断結果を比較することです。

良い業者は、ただ見積もりを出すだけでなく、「なぜこの劣化が起きているのか」「放置するとどうなるのか」「だから、この工事が必要になる」ということを、写真などを見せながら素人にも分かりやすく説明してくれます。その診断内容や提案の丁寧さにこそ、企業の姿勢が現れます。


私たちは、お客様の大切な財産である家を診断するという仕事に、誇りを持っています。それは、ただ劣化を見つける作業ではなく、お客様のこれからの安心な暮らしを守るための、責任ある仕事だと考えているからです。もし、私たちの仕事への考え方や姿勢に少しでも興味をお持ちいただけたなら、私たちの会社について、より詳しく覗いてみませんか。

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まとめ:「必要ない」という思い込みを捨て、建物の価値を守る賢い選択を

「外壁塗装は必要ないかもしれない」という考えは、決して間違いではありません。実際にタイル壁のように、塗装が不要な家も存在します。しかし、日本の多くの住宅にとっては、外壁塗装は建物の資産価値と寿命を守るために、避けては通れない重要なメンテナンスです。


本当に大切なのは、「必要ない」と思い込んで何もしないことでも、不安に駆られて慌てて契約することでもありません。

ご自身の家の外壁材の種類という「事実」を知り、劣化の状況という「現実」をその目で確かめ、そして、信頼できる専門家の「客観的な意見」に耳を傾けること。


このプロセスを経て、ご自身が心から納得したタイミングで実施する外壁塗装こそが、あなたと、あなたの大切な家にとっての「正解」です。それは、未来の安心を手に入れるための、最も賢い選択と言えるでしょう。


この記事が、あなたの次の一歩を考えるきっかけになれば幸いです。

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