空室がなかなか埋まらない、築年数が経ってもリフォームまでは踏み切れない…そんな悩みを抱えるアパートオーナーは少なくありません。けれど実は、多くの入居希望者が物件を決める際に重視しているのが、「建物の外観」だったりします。駅からの距離や間取りよりも先に、目に飛び込んでくる“見た目”で「この物件は安心できそうか」「古びていないか」を無意識に判断しているのです。
たとえば外壁が汚れていたり、ひび割れが目立っていたりすると、築年数以上に古びた印象を与えてしまいます。逆に、定期的にメンテナンスされていることが見て取れる物件は、それだけで「管理がしっかりしていそう」と好印象を持たれるのです。
この記事では、アパートの外壁塗装がもたらす入居率への影響や、オーナーとして知っておくべき施工の考え方、費用感、長期的な視点での物件価値の保ち方まで、実務的な観点で解説していきます。
空室対策に効く外壁塗装、見た目だけじゃない効果とは
外壁塗装というと、「見た目をきれいにするもの」というイメージが強いかもしれません。もちろんそれも重要な役割ですが、アパートにおいては**“空室対策”としての側面**が非常に大きいのが実際です。というのも、入居希望者はまず物件の外観をネットや現地で確認し、「ここなら住めそう」と感じるかどうかで内見に進むかを決めるからです。
特に若い単身者やファミリー層は、築年数以上に“手入れされているか”を見ています。外壁にツヤがあり、ひび割れもなく、清潔感があるだけで、他の似た条件の物件よりも選ばれやすくなるのです。これは、リフォームや設備投資に比べて比較的コストが抑えられるにもかかわらず、大きな効果が見込める投資です。
さらに、外壁塗装には建物自体を保護する役割もあります。雨風や紫外線から外壁材を守り、劣化を遅らせることで、大規模修繕の時期を延ばすことにもつながります。つまり、見た目の改善だけでなく、維持管理コストの長期的な最適化にも貢献するのが外壁塗装なのです。
一度塗装を行えば、次回の施工までおよそ10〜15年は効果が続くため、空室リスクの軽減と物件価値の維持、どちらにもメリットがあります。
タイミングを逃さない、塗り替えの見極め方
「まだ大丈夫」「あと数年は持つはず」――外壁塗装の判断を後回しにするオーナーも多いですが、その判断が物件の魅力を大きく損ねている可能性があります。外壁塗装の適切なタイミングは、築10〜15年程度が目安。ただし、日当たりや風雨の影響によっては、それより早く劣化が進んでいることもあります。
見た目でわかりやすいサインとしては、「色あせ」「チョーキング(粉っぽさ)」「ひび割れ」「カビ・コケの発生」などが挙げられます。これらの症状が出ている時点で、外壁の防水性が落ちている可能性が高く、放置すれば建物内部にまで影響が及ぶリスクがあります。
塗装時期を逃してしまうと、単なる塗り替えでは済まず、下地補修や張り替えといった工事が必要になることも。そのぶん費用も跳ね上がり、入居者への影響も避けられません。だからこそ、“まだ大丈夫”ではなく、“そろそろかな”の段階で行動することが、結果的に費用対効果の高い判断になります。
また、塗装のタイミングを見極めるには、信頼できる業者による現地調査が欠かせません。見た目では判断しきれない劣化もあるため、定期的な点検を受けることが、安全で効率的な維持管理につながります。
コストと品質のバランス、塗料と仕様の選び方
外壁塗装の費用は、アパートの規模や立地、劣化の状態によって大きく変動しますが、塗料の種類とその性能は、見た目や持ちに直結する大切な要素です。まず大まかな分類として、ウレタン系、シリコン系、フッ素系といったグレードがあり、それぞれ価格と耐久年数が異なります。
ウレタンは比較的安価ですが耐久年数が短めで、7〜10年程度が目安。一方、シリコンは10〜13年、フッ素は15年以上持つものもあり、初期コストは高めでも長期的に見ると塗り替え回数が減る分、結果的にお得になることもあります。また、セルフクリーニング機能や遮熱機能のある塗料を選べば、日常のメンテナンスや電気代の節約にもつながります。
特に複数戸を有するアパートでは、次の塗り替えが発生する時期をできるだけ後ろ倒しにすることで、工事期間中の空室リスクや入居者対応の手間も減らせます。つまり、コストだけでなく長期的な運営視点からも塗料選びは重要というわけです。
さらに、外観デザインに合わせた「色」の選定も、オーナーが意識すべきポイントです。派手すぎず、かといって地味すぎない絶妙なトーンは、入居希望者に好印象を与えやすく、近隣環境との調和も損ねません。実績のある塗装業者であれば、建物の形状や立地に合わせた配色提案も行ってくれます。
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住人対応・トラブル回避も含めて「仕事」
外壁塗装を進めるうえで忘れてはならないのが、現在住んでいる入居者への配慮です。塗装工事では、足場の設置や高圧洗浄の音、作業員の出入りなど、普段とは異なる状況が発生します。そのため、事前にしっかり説明し、理解を得ることが非常に重要です。
通知文を掲示板に貼るだけでなく、各戸へのポスティングや、必要に応じて個別説明を行うなど、丁寧な対応が求められます。「知らなかった」「突然騒音がして驚いた」といったクレームを防ぐためにも、事前告知と進捗共有を怠らないことがトラブル回避のカギとなります。
また、足場によって洗濯物が干せなくなる、日当たりが悪くなる、などの生活面での制約も発生します。そうした場合には、施工期間や作業エリアのスケジュールをできるだけ公開し、生活に配慮した工程を組むことが望ましいです。細やかな配慮を積み重ねることで、住人からの信頼を得ることができ、将来的な退去リスクを下げることにもつながります。
施工業者を選ぶ際にも、こうした住人対応の経験が豊富かどうかを確認しておくことがポイントです。「安い・早い」だけではなく、入居者をストレスなくサポートできる業者かどうかを見極める視点が欠かせません。
入居率も物件寿命も、塗装ひとつで変わる
アパートの外壁塗装は、ただの「見た目のリフォーム」ではありません。入居者に安心感を与え、空室リスクを減らし、長期的には建物の寿命そのものを延ばす、大切な管理業務のひとつです。家賃設定や立地条件の改善が難しい物件でも、「きちんと手入れされている」と伝わる外観があれば、選ばれる可能性は確実に高まります。
また、外壁の印象は、オーナーの姿勢そのものを映す鏡でもあります。「この物件は放置されていない」と感じてもらえることが、長く安心して住んでもらうための第一歩になるのです。
これから先も安定した賃貸経営を続けるなら、外壁塗装のタイミングを“後回し”にするのではなく、計画的に向き合っていくことが重要です。「そろそろかも」と感じたら、まずは現地調査から始めてみてください。
▶ ご相談・お問い合わせはこちら:https://www.kato-kenso.jp/contact